2020年8月5日水曜日

御神酒のおはなし

例年に比べ遅めの梅雨明けとなり、ようやくビールの美味しい季節となりました。
今年はリモート飲み会などで、おうち時間を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
さて、神社では毎日、神様へお酒をお供えします。お酒は、飲むと意識が昂揚し、普段とは異なる精神状態になる作用や、腐敗を抑制したり殺菌作用があることから、昔の人はお酒を「清らかなもの」、「神様に近付くことができるもの」と捉えていたようです。また、高天原の神様から頂いた神聖な食べ物であるお米から造られる日本酒は、神事におけるお供え物として申し分なく、さらに御神酒(おみき)としてお下がりを頂けば、神様のお力が宿る上質な嗜好品ともなりました。
☆福戌御神酒
水天宮ではご祈祷を受けた方に御神酒をお渡ししています。ご妊婦様や授乳中の方はそのまま飲むことはできませんが、お料理にお使いになってもかまいませんので、ぜひご家族皆様で神様のご神徳をいただいてください。

☆お酒の奉納について
お酒を奉納したいのですがどうしたらいいですか、という質問を受けることがあります。直接受付にご持参いただくか、神社宛にお送りいただいても構いません。ご神前にお供えいたします。
また、数年前に公開されたアニメ映画『君の名は。』の中で、神社の娘である主人公とその妹が口噛み酒(くちかみざけ)というお酒を造る場面が出てきます。このお酒の製法は、人類がお酒を造った最初の方法とされ、古代日本では神事のために、神に仕える神聖な女性により行われ、醸す(かもす)という言葉の由来になったとの説もあります。
現在、口噛み酒が造られることありませんが、各地で行われている伝統的な酒造りは、今なお神聖なものとして受け継がれています。ごく最近まで女人禁制といわれていた酒造りですが、杜氏(とうじ)の語源とされる「刀自(とじ)」とは家事一般をとりしきる主婦のことを指し、もともと女性が酒造りを担っていたことがうかがえます。現在では女性の杜氏や蔵人の方も多く活躍しております。