古来、日本では言葉に霊力が宿ると信じられ、人が言葉を唱えることにより、その霊力が発揚されると考えられてきました。祝詞にはこの言霊信仰が根底にあります。今でも結婚式などで、縁起の悪い言葉を使わないようにしますね。言葉により幸福にもなりますし、不幸にもなりかねません。
また神道には「言挙げせず」という考え方があります。これは、あえて言葉にして明確にしたり、言い立てたりしないという意味です。言葉が神様の意思に背いたり、慢心によるものである場合、悪い結果がもたらされるとされました。昔の日本人は言葉の重要さを認識し、慎重に言葉を選んで使っていたのではないでしょうか。
日本人が周りを察して気配りができるのは、このあえて口にしないという「言挙げせず」の精神に起因しているようです。現代では、欧米文化の影響で「こと細かく伝えること」や、「自分の意見をはっきり言うこと」が重要視されるようになってきました。これからは「言挙げ」することもしないこともどちらも大切。「口は災いの元」にならないように、神様の大御心を大切に生きていきたいですね。
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