さて、日本人は古よりとても繊細な色彩感覚を持っていたようです。中でも平安時代の女房装束、いわゆる十二単と呼ばれる貴族の女性たちの装束にみることができます。
十二単では、五衣(いつつぎぬ)と呼ばれる5枚の袿(うちぎ)を重ねて着るときに襲色目(かさねいろめ)という色の合わせ方のパターンが決まっており、行事や季節また身分や年齢などによって細かく使い分けていました。
重ね方には、次のような種類がありました。
・「繧繝」薄いものを重ねていき濃いものを強調する
・「薄様」淡い色になり白に至る
・「匂い」同系色のグラデーション
・「村濃」所々に濃淡がある
・「裾濃」下に行くほど濃くなる
平安貴族たちは、襟元や袖口や裾に、美しいグラデーションを楽しんでいたのですね。
当社の御祭で女子神職が身に付ける袿にも、このような伝統的な配色がなされています。