2019年9月1日日曜日

~垂髪~「髪は女の命」其の壱

日本では「髪は女の命」といわれるように、かつて長い黒髪は女性にとっての美しさの条件のひとつでした。神社の巫女が髪を後ろで一つに束ね、長く垂らす垂髪(たれがみ・すいはつ)という髪型は、元々、平安時代の上流階級の女性の髪型に由来があります。
奈良時代、大陸に習い、男女ともに髪を結い上げることが行われましたが、女性には定着せず本来は束ねずに垂らしただけの垂髪、いわゆる平安貴族の女性の髪形として宮中に定着しました。やがて武士の時代になると、より活動的な装束に合わせ、髪も足元まで伸ばさず、一つに束ね、宮中行事の際にのみ“かもじ(付け毛)”を付けて長くするようになりました。江戸時代になると、いわゆるお雛様の髪形で知られる豪華な「おすべらかし」が登場します。
昔から日本では、「髪」は「神」に通じると考えられ、女性の髪には霊力が宿るといわれていました。現在では、長く伸ばした「垂髪」は、皇族の女性をはじめ女性神職や巫女へと受け継がれています。
私たちは、かつて神聖なものとされていた髪を美しく保ち、清らかな気持ちで日々奉仕をして参りたいと思います。